文・クラリスブックス 高松

今年最後のブログ。

2017年はここ数年で一番映画館に行くことができた年だったので、自分自身の備忘録的な意味もあって、どのくらい映画館で映画を見たのか、どういう映画を見たのか、ミニシアターか、シネコンかなどを記していこうと思う。 ちなみに映画自体は家でももちろんいろいろ見たが、映画館で映画を見ることに重きを置いているので、家で見た映画については無視する。

まず、映画館には合計28回行った。この中で、一日に2回映画館に行ったが、同じ映画館で、前編後編に別れた映画なので、一つとして数えた(クストリッツァの『アンダーグラウンド完全版』)。また、二本立ても一度行っているが、映画館に行った数としては一つとして数えた。だから、映画は29本見たことになる。ただ、その29本のうち、同じ映画を2回見に行っている(エドワード・ヤンの『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』)。だから作品としては28本、映画館に行った回数も28回(厳密に言えば29回)、ということになる。ややこしい。

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さて、映画館に28回も行くことができたが、旧作、つまりリバイバルやデジタルリマスター版など、日本で最初の公開ではないものは18本、新作は10本だった。 こうみると、私は昔の映画を新作の倍近く見に行ったことになる。すべてを調べていないが、おそらくその旧作の半分以上は、DVDやネット経由で家で見ることができる。それでも映画館に行くのは、単純に、集中してしっかり見たいからに他ならない。特にそれ以外の理由はない。

映画館の種類について。
シネコンには7回、ミニシアターには21回行っている。確実にミニシアターにお世話になっている。特に足を運んだのは、ユジク阿佐ヶ谷、新宿シネマカリテ。その他、早稲田松竹、下高井戸シネマ、新宿と有楽町の角川シネマ、渋谷アップリンク、新文芸座など。ミニシアターといっても、新作を上映する館と、旧作を上映する館があるが、細かいことはよくわからず面倒なので、ひとくくりにした。

私は、今年のベスト10とか、ベスト3といったようなものを選ぶのが苦手で、また、星いくつとか、映画を点数で評価するのも得意じゃないが、数本、特に記憶に残った作品を記しておく。
まず、なんといっても『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』。4時間の大作である。これは私が今まで見た映画の中でも群を抜いている傑作で、この映画、デジタルリマスターされたこの1991年の映画に、今年の春に出会うことができたことで、こんなにも映画館に足を運ぶことができたのだと、自分では思っている。映画はやっぱりすごい!と改めて認識できたのだ。高校生や大学生だったらわかるが、この歳になってもここまで映画という媒体で心震わすことができるということに、自分自身驚き、そして嬉しかった。 『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』はリバイバル上映なので、いちおう旧作扱い。新作でいえばアキ・カウリスマキの『希望のかなた』、ちょっと番外ではあるが、『セブン・シスターズ』。この『セブン・シスターズ』、B級色満載だが、エンタメとしての映画の要素がたっぷり詰まっていて、最初から最後までずっと楽しめた快作だった。

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またリバイバル作品に戻るが、ジャン=ピエール・メルヴィルの『海の沈黙』。ラストを思い出すだけでも涙が出てしまうほど感動してしまった。これがメルヴィル長編第一作で、この後、『犬』や『影の軍隊』など傑作を生み出すことになるが、それらとはジャンルやストーリーも異なるこの作品、しかし、映画としての完成度は恐ろしく高い。当時メルヴィル30歳、しかも撮影期間は一ヶ月ほどだったという。天才という他ない。 また、タルコフスキーの『鏡』『ノスタルジア』そして『サクリファイス』を見た。どちらもすべて傑作に違いないが、中でも『サクリファイス』は私の心の中に最も強烈に突き刺さった作品であった。

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2017年、一番最初に見た作品は『ヒッチコック/トリュフォー』だった。手帳を見返すと、1月4日に見ている。いま思えば、大変幸先よいスタートだった。2018年も映画館で良い映画に巡り会えますように。

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