文・クラリスブックス 高松

一番最初に映画館で見た映画を覚えているだろうか。

10代20代の若い方であれば、そんなに古い記憶ではないので覚えているかもしれないが、私の場合、すでに40年前の思い出なのだが、映画が映画だけに、鮮明に覚えている。
それは、『オーメン2』だった。

場所は渋谷パレス座。現在はすでになくなっている。渋谷の西武デパートにくっ付いていた映画館で、子供の頃、他にも何本か見た記憶がある。この映画館、渋谷パレス座から渋谷シネパレスとして生まれ変わり、長らく営業していたが、こちらも残念ながら閉館してしまった。

1979年公開の映画『オーメン2』、当時私は4歳だった。母と姉に連れられて見に行ったのだった。

この映画、はっきりいって、単なるスプラッター映画である。

こんな映画によくも4歳の子供を引き連れて行ったものだ。おそらく、他の映画の時間が合わなくて、ちょうどタイミングがよかったのがこの映画だったのだろう、特にこれを見たいというわけではなかったようだ。姉は14歳だったが、ほとんど記憶に無いとのこと。

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▲当時のチラシ。偶然入ってきて、いろいろと思い出してしまった。

たまたま、本の買取で映画のチラシが比較的大量に入ってきて、パラパラと見ていると、この『オーメン2』のチラシが出てきて、いろいろと記憶が蘇ってきたので、思わずブログを書くことにしたのだが、まあ、なんともひどい映画であった。いかに人をグロく殺すか、とにかくそういったところにのみ重視している映画で、烏につっつかれて殺されたり、ガラスが飛んできて首がぶっ飛んだり、エレベーターのワイヤーが切れて、そのワイヤーで胴体が真っ二つになったり、湖のスケートリンクの氷が解けて落ちて沈んでしまったりと、今になって考えると、時代的に、この手のスプラッター映画が流行っていたということも影響していたのだろう、ともかく、およそ4歳児が映画館の大画面で見る映画ではなかった。

 

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▲チラシ裏面。ショック1から6、そして7、8は?などと、丁寧な説明があるのが面白い。近日大公開の『マジック』というのも気になる。

私は映画上映中、途中で立ち上がって騒いだ記憶が、なんとなくある。トイレに行きたくなったのか、怖くて騒いだのか、覚えていない。そもそも私は子供の頃は比較的ギャーギャー騒ぐ子供だったようなので、どんな映画であれ、よく映画館に行かせたものだと感心する。

姉が購入したであろうパンフレットが家にあって、当時私はパンフレットを見るのはもちろん、近づくことすら怖くてできなかった。正直、トラウマである。

この映画、キャストを見ると、ウィリアム・ホールデン、リー・グラントと、スターが出演。おそらく前作『オーメン』がヒットしたので、いろいろとお金を使うことができたのだと思われる。ウィリアム・ホールデンは有名だが、リー・グラントは、私の中では、後にドラマ『刑事コロンボ』の「死者の身代金」での美貌の犯人役として知ることとなるのだが、ようやくこのチラシを見直して、リー・グラントが出ていることに驚いてしまった。

調べると、『オーメン2』は1979年2月10日公開だった。同じ時期に公開している映画といえば、『天国から来たチャンピオン』『宇宙空母ギャラクティカ』『悪魔が来りて笛を吹く』『Mr.BOO』などなど。3月に入るとアニメがいろいろと公開されていたようだ。

この映画を4歳の時に見たことの影響というものがどのようなものだったかはわからないが、少なくとも、映画館で映画を見ることは嫌いにはならなかったようで、そこはほっとしている。