こんにちは、店主の高松です。

今日のブログは特に本に関する話題ではなく、少し個人的なことを書きます。
外国語を勉強するということについて。
スタッフの石鍋が同じようなことを、ちょっと前にブログで書いております。よろしければご覧ください→“Love may fail, but courtesy will prevail.” ― Kurt Vonnegut

私は外国語ができません。英語は中学校から高校、そして大学まで一応人並みに勉強してきたつもりですが、話すことはできません。もちろん街で道などを聞かれたら、気合いで話して通じることはありますし、店でも外国のお客様とはなんとかやり取りすることはできますが、自分の気持ちや、何かを詳しく説明するとなると、さすがに無理です。

辞書事典 フランス語ギリシア語ラテン語英語

私は英語の他に、かじった程度の外国語としては、フランス語、古代ギリシア語、ラテン語があります。もちろんどれもかじった程度なので、実用的にはなにも使えません。そもそも古代ギリシア語とラテン語なんて、はじめっから実用的な言葉ではないのですが、少なくとも学者でない限り。

先週、2月22日公開予定の映画「ドストエフスキーと愛に生きる」の試写会に行けるという、とても幸運な出来事がありました。
この映画はロシア生まれのドイツ人翻訳家スヴェトラーナ・ガイヤーのドキュメンタリーなのですが、劇中彼女は、ドストエフスキーの原書をなんどもなんども読み返して、ドイツ語ではどういう表現がいいか、意味はもちろん、朗読してもらって、音の響きなども考え合わせて慎重に丹念に翻訳しているのでした。

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その映像がとても美しく、自分の好きな作家の作品を原書で読むことができたらな〜!と強く思ってしまったのでした。そう、私はドストエフスキーの作品が好きなので、ドストエフスキーを原書で読む!などということができたら、どんなに幸せだろう、と夢想してみたのでした。ドストエフスキーだけではなく、私はどちらかといえば外国文学や外国の哲学者たちの著作が好きなので、とにかくなんでもいいから原書で読んでみたい!と思ったのでした。

ドストエフスキー白痴

 

先日、前々から大変お世話になっている読書家の大先輩がお店に来てくれました。
最近読まれた本のなかでよかったものをいろいろ教えていただいたのですが、その中に2冊洋書のペーパーバックがありました。英語の本でした。
「日本語の翻訳も出ているけど、まだハードカバー版しかなくて高いからペーパーバックを買ったんだよ」と言っているのを聞いて、とても羨ましく思いました。そして、難しい英語の単語とか、意味がわからないのがでてきたらどうするんですか?と聞いてみると、「飛ばして読んじゃう」とあっさり答えてくれました。その時、ああそうか、となぜか急に納得できたのでした。
日本語でも難しい単語はたくさんあります。読めない漢字もたくさんあります。そういう時は、確かに飛ばして読んだり、なんとなくこういう意味だろうとか、まあこういう感じかな、雰囲気かな、などと勝手に解釈して進んでしまいます。それでもなんとかなるものです。だから外国語でも、すべての単語をきっちり訳そうとは思わずに、ぼんやりでもいいから、まず全体を読んでいく、そして少しずつ細部を気にかける、こんな感じで勉強すればいいのでは、と考えました。
「ドストエフスキーと愛に生きる」でも、スヴェトラーナは左上から右下に進んで訳するのではなく、鼻を上げて訳しなさい、と言っていました。全体を見ろ、ということです。

さて、今年40になる人間が外国語を習得するためには、どうすればよいか、そしてそもそも、どの言葉を勉強するか?

いろいろな場面で使える言葉、最も実用的な言葉といえば、やはり英語でしょう。英語は仕事でもそれ以外でも一番使えるし、私の中でも一番できる外国語なので、がんばればモノになるかもしれません。英語ができるようになれば外国のお客様とも容易にコミュニケーションできるようになりますし、外国の人とのメールもスムーズにいきそうです。

英語の他に、多少かじったフランス語も自分としては面白いかなと思っています。カミュの「異邦人」を原書で読みたい!という目標を掲げれば、頑張れる気もします。それで以前こんな本を買っていたのでした。買っただけで、ぱらぱらとめくってその後本棚の奥底に眠ってしまっておりました。

フランス語で読もう異邦人 カミュ

この作品、「異邦人」は、私に本格的に哲学というものを勉強したいと思わせた思い出の小説で、しかもフランス語を勉強する上では比較的入門書とされているようです。文法がほんとにきっちりとしていて、言葉が美しいとのことです。フランス語ができれば、その美しさを実感できるかもしれません。

古代ギリシア語とラテン語は、実用面から考えてしまえば、あまりやっても意味なし、という結論になってしまいます。
ただ、もし本当にしっかりこの二つの言葉を読み書きすることができれば、プラトンの著作から新約聖書、そしてラテン文学が花開いたローマ時代の多くの著作物を原書で!読むことができるのです。これは凄いことです。しかも古代ギリシア語とラテン語は、現在使われている多くの言語の元になっている言葉でもあります。特にラテン語はフランス語、イタリア語、スペイン語の直系の祖先で、かなり多くの単語が現在使われている言葉に見出すことができます。だから、もしラテン語がしっかり読み書きすることができれば、これら三つの言葉も特に勉強せずになんとなく理解できるようになるかもしれません。
しかし!私はこの二つの言葉がいかに難解な言葉かを知っています。ものすごく大変です。

古代ギリシア語は動詞の変化がものすごく多くて、参考書等の巻末に付録として付いている変化表では、一つの動詞の変化で4〜6ページ使っています。動詞一つがそんなにも変化する、もちろん規則があるから端から端まで覚える必要はありませんが、しかしそれでもものすごい変化の量です。
名詞もものすごく変化します。単数複数以外に、両数(双数)というものもあります。対になっているものの場合に使われます。二つの腕、双子など。さらに性も男性形と女性形の他に、中性形!なるものがあります。
下の写真は、私が大学生の頃使っていた古代ギリシア語の参考書の動詞の変化表の一部。なんか鉛筆で線を引いて見やすくしていますね。懐かしい。

ギリシア語 変化

ラテン語も同様に変化がものすごい。さらにラテン語は、属格とか対格とか、異なる格にもかかわらず、同じ変化をしてしまうものがたくさんあり、先ほどの鼻を上げて訳しなさい、という言葉通り、全体を見通さないと訳が全くわからないことが多々ありすぎて、これまた大変です。
ただラテン語は、韻を踏んでいる文章が多く、スラスラ読めるようになると、とても気持ちのいい言葉だと思います。

カエサルの有名な言葉、「来た、見た、勝った」
「veni, vidi, vici」
3つの単語すべてが4つの文字からできていて、さらに3つすべてが「v」で始まり「i」で終わる。単純なようで、複雑。かっこいい〜

ラテン語変化

「好きな作家の作品を原書で読む」という目標を掲げた場合、やらねばならない言葉はロシア語になります。ドストエフスキーを原書で読みたいからです。
しかしロシア語は全くわかりません。まず使われている文字が異なるので、ほんとに一から勉強することになります。ダー(はい)ニエット(いいえ)スパシーヴァ(ありがとう)ダスビダーニャ(さようなら)だったかな、くらいしか知りません。あとハラショーもありますね。

ドストエフスキー白痴

学生だった頃のように、語学の勉強に集中する時間はありませんが、それでも毎日毎日こつこつと積み重ねていけば、少しはできるようになるかも。まずは目標をしっかりと決めて、そこに向かっていくにはどうすればよいか、ちょっと考えたいと思います。

お店を閉めてから、1時間だけ店に残って勉強するとか、朝開店前になにかするとか、毎日の生活の一部に入れてしまえば、なんとかなるかも、などとかなり楽観的に考えている時は、なかなか難しいと実は心の中で思っていることが多く、だからこそ今まで結局何もできないまま過ごしてしまっているのです。

外国語習得について、いい機会なので、ちょっと今回は真剣に考えてみようと思います。本と関係ない内容、失礼しました。

 

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